1.新型コロナ税特法
新型コロナウイルスにより税制面でも各種の取り扱いが4月20日に閣議決定されました。実務上、ポイントになる項目を列挙します。
(法人税)自社ビル所有の会社が、賃貸借契約を締結している賃借人に対して賃料の減額を行った場合、合理的な理由がなければ減額した部分に相当するものは賃借人に対する寄附金となります。しかし、一定の要件を満たせば減額した部分については寄附金として取り扱われないこととなりました。賃借人の営業継続等を目的とした賃料減額であることが書面で取り交わされていることが必要です。
(所得税) 会社が、従業員に対し見舞金を支給した場合、通常であれば規定等がない限り、給与課税されます。しかし、新型コロナの影響により支給した見舞金は非課税所得となり、源泉徴収もされません。支給額が社会通念上相当であり、給与の性質を有しないこと等が要件となります。また、緊急事態宣言が解除されてから相当期間を経過して支給されたものは、本件の見舞金には該当しないので注意が必要です。
(消費税) 原則として、消費税率の経過措置(旧税率8%)の適用を受けている賃料を変更した場合は、変更後の貸付けは経過措置が適用されません。しかし、新型コロナの影響を受けた賃借人の支援のために賃料を減額することが明らかであれば、変更後も引き続き消費税率の経過措置が適用できます。これは不動産以外の資産(事務機器等)の貸付けについても適用されます。
(その他) 新型コロナ税特法においては、観客等が指定行事(令和2年2月1日から令和3年1月31日までに開催予定であった文化芸術・スポーツに関する行事等)の中止で入場料等の払戻請求権の全部又は一部を指定期間内に放棄した場合は、寄附金控除の対象になります(最高20万円)。ただし、現行の寄附金控除(特定寄附金等)やその放棄をした者に特別の利益が及ぶものは除かれます。
これらの他にも特別な対応がある税制がありますので、持続化給付金や融資制度などと併せて注視していく必要があります。