2.負担付贈与に関する税務問題

 負担付贈与とは、贈与される側に一定の債務を負担させることを条件にした財産の贈与のことです。この場合、贈与財産の価額から負担額を控除した価額に贈与税が課税されることになります。贈与された財産が不動産である場合には、その贈与の時における通常の取引価額に相当する金額(時価)から負担額を控除した価額になります。具体的には、その不動産の時価からその不動産に係る借入金等を控除した残額について贈与税が課税されます。

 ここで注意すべきは、不動産の場合は相続税評価額ではなく通常の取引価額に相当する金額(時価)になるということです。この不動産の評価を誤ると多額の贈与税が課税されます。特に土地の評価については金額が大きいので要注意です。親子間で、生前贈与としてこの負担付贈与を適用する場合は、通常の取引価額と相続税評価額の差異に留意する必要があります。相続時(親の死亡)は、財産評価基本通達に基づく相続税評価額を適用できます。相続対策のために行った負担付贈与であっても、通常の取引価額が高過ぎると相続税よりも贈与税のほうが多額になる可能性があります。また、生前贈与は小規模宅地等の特例が適用できないことにも注意が必要です。