24.インボイス制度(6)

免税事業者と課税事業者の考察

1. インボイス制度が、始まると、例えば、卸売業のA社が小売業のB社に11万円(消費税1万円)で納品し、B社が最終消費者に16万5000円(消費税1万5千円)で販売した場合、A社がインボイスを交付しB社が仕入税額控除を行うと1万5千円から1万円を引いた5千円が消費税の納付税額となります。しかし、A社が免税事業者だと、6年間の一定期間の経過措置が設けられていますが、B社は控除できず、最終消費者から受け取った消費税15000円を納付しなければならないことになります(ここでは、簡易課税は考慮外)。

2. 適格請求書発行事業者である課税技業者が、取引先と飲食をしたとする。その飲食店が、(1)「免税事業者」か、(2)「課税事業者」か(3)「適格請求書発行事業者である課税事業者」か、などを調査してから飲食店に入店することは現実的にあり得ません。飲食が終わり、あとから領収書をもらったときに「インボイスの登録番号や正確な適用税率及び消費税額など」が記載されていれば、消費税の申告を行うときに、仕入税額控除ができることになるからです。

 つまり、インボイス制度の問題点は、大きく2つで、

「免税事業者が消費税を申告するようになるか否か」と

「課税事業者の仕入税額控除が全額出来るか否か」

にあると個人的には考えます。

 6年間の経過措置が終わると、取引や事業内容が変わらなくても、『現時点での納付消費税額』と『7年後の納付消費税額』との差は、課税事業者の規模によっては、とてつもなく大きな金額になると考えます。そして、その金額は今から想定しておかなくてはいけません。

 また、会社や会計事務所は、その仕入取引が、「仕入税額控除できる取引」か、「経過措置で8割は仕入税額控除できるものか」、「そもそも課税取引ではないと考えるか」、さらには、それらが、「軽減税率適用か否か」など、毎日の仕訳処理で1本ずつの仕訳(課税非課税)を間違えないようにしないと、正確な消費税申告書の作成にはたどり着けなくなると考えます。会計処理を行う上で、消費税の種類(会計ソフト上のコード)が今よりももっと増え煩雑になるということです。