12.貸倒損失

回収不能の金銭債権の貸倒れ

 法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況・支払能力等から判断して、その全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金処理することができます。

 法人が自ら自己の有する債権の回収を不能と判断し、その金額を損金の額に算入することになりますので、税務上、厳しい要件が課せられています。租税回避行為になりかねないためです。全額が回収不能であることを当該法人が立証する必要があります。また、計上時期についても、恣意性が介入しないように全額が回収できないことが明らかになった事業年度でのみ計上が認められています。一般的には、取締役会等で法人が回収不能について決議したときの事業年度になるかと思います。

 この金銭債権の貸倒れは、当該金銭債権について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ貸倒れとして損金経理することはできませんし、保証債務については、現実にこれを履行した後でなければ、貸倒れの対象にすることはできないことに注意する必要があります。