11.必要経費と費用
相違点
所得税法上の必要経費とは、「総収入金額に対応する売上原価その他の総収入金額を得るために直接要した費用の額」及び「その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額」とされています。法人税法上の損金とは、原価・費用・損失の額とされています。
法人税法上は、「必要」や「業務上の」という文言は出てきません。「当該事業年度の原価・費用・損失」を損金とするとしています。この意味において、法人税のほうが所得税よりも広い概念であるということができますが、どちらにしろ、所得金額を算出する上での控除項目に違いはありません。よく、法人のほうが費用を計上しやすいと言われますが、そんなことはありません。所得税法上は必要経費としていますが、法人税も同じように事業を遂行する上で発生した費用を損金の額に算入するということに変わりはありません。
その経費や費用が、事業を行う上で必要か否かにより判断しますので、法人だから費用になりやすいという認識は間違っています。この意味においては法人も個人も同様の取り扱いとなるので相違はないことになります。