10.自己株式の取得

非上場会社の自己株式の取得

 株式の集約、敵対的株主からの取得など非上場会社が、自己の株式を取得する場合があります。財源規制等がありますが、株主総会決議で自己株式を取得することができます。ここで税務上問題となるのが株価です。税務上、株価が高過ぎても低過ぎても問題があります。原則としては、買い手が法人ですので原則的評価になると思います。財産評価基本通達に一定の条件を加味して算出した株価であれば税務上は問題となることはありません。

 ただし、売主である個人は、譲渡所得税だけでなく、利益積立金に相当する部分については、みなし配当となり、総合課税の対象となるので、金額が大きい場合は注意が必要です。ただ、この場合であっても、相続により取得した非上場株式で、3年以内に発行法人に譲渡すれば、譲渡所得税のみとなりますので、相続があった場合には、納税資金の確保のためにも、よく検討すべきです。

 金庫株(自己株式)は、その取得後、そのまま保有している会社も多いですが、最近では、コロナの影響により、金庫株を役員報酬等として支給する会社も増えてきています。ストックオプションとは異なりますが、会社の財政状態等を鑑みれば、金庫株の有効な処分方法であるといえます。