9.贈与財産の加算

3年内贈与加算

 相続により財産を取得した人が、被相続人からその相続開始前3年以内(死亡の日から遡って3年前の日から死亡の日までの間)に贈与を受けた財産があるときには、その人の相続税の課税価格に贈与を受けた財産の贈与の時の価額を加算しなければなりません。また、その加算された贈与財産の価額に対応する贈与税の額は、加算された人の相続税の計算上控除されることになります。

 この3年内贈与加算は、贈与税の申告をしていない場合(110万円以内の贈与)も加算しなければならないので注意が必要です。例えば、暦年贈与で100万円ずつ毎年、被相続人から相続人に贈与していた場合は、300万円を相続財産に加算する必要があります。つまり、3年以内の贈与は、贈与ではなく「相続税」の対象となるということです。この贈与財産の加算は、相続人に贈与したものが対象となるので、相続人以外の人に贈与した場合は加算の対象とはなりません。

 ただし、次の贈与については加算する必要はありません

1.贈与税の配偶者控除の特例を受けている又は受けようとする財産のうち、その配偶者控除額に相当する金額

2.直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち、非課税の適用を受けた金額

3.直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち、非課税の適用を受けた金額

4.直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち、非課税の適用を受けた金額

 つまり、政策上、贈与税を非課税とするものを適用し、贈与税の申告(贈与税がゼロであっても)をしたものは、その非課税部分については、相続税でも加算する必要はないということです。