8.公益法人の消費税
公益社団法人・公益財団法人の消費税
公益性の高い公益社団法人や公益財団法人は、その法人の性質から普通法人と消費税の計算方法が異なる場合があります。その最も大きな点は、「仕入控除税額」にあります。普通法人は、原則として課税売上げに係る消費税から課税仕入れに係る消費税を控除して納付すべき消費税を計算しますが、一般的には公益法人は課税仕入れに係る消費税の全額を仕入控除税額として控除することはできません。
公益法人の主な収入は、寄附金・会費・補助金等の対価性のないものとなっています。つまり、不課税取引なので、売上げに係る消費税がほとんど発生しません。このような対価性のない収入を原資とする課税仕入れに係る消費税を課税売上げに係る消費税から控除することには合理性がありません。この状態で、原則的な計算方法を適用して消費税を計算すると理論的には多額の消費税還付申告となってしまい、他の法人との課税の公平性が保たれません。
そこで、通常の計算による仕入控除税額をまず算出して、その税額を調整していくことがポイントとなります。この調整とは、「特定収入割合」のことを指します。特定収入割合が大きければ大きいほど、仕入控除税額が小さくなります。つまり、寄附金や会費収入が多い法人は一般的にはこの割合が高くなり、控除できる仕入れに係る消費税の額が小さくなります。つまり、課税売上げの割合に対応する部分の仕入控除税額のみを控除することができるということです。ただし、特定収入割合が5%以下の法人は公益法人であっても調整の必要はありません。