7.ふるさと納税の本質
最高裁判決 泉佐野市
2020年6月30日、上告審判決が最高裁でありました。事件の争点は、「ふるさと納税の返礼品割合を30%以下とする基準(新制度)を、新制度前の泉佐野市の過去の取り扱い状況に基づいて同市の除外を決めたことが妥当であるか否か」ということでした。判決では、新制度施行前の過去の取り扱いを不当と解するのは困難としました。つまり、泉佐野市をふるさと納税制度から除外することは違法であるということです。2020年1月には、大阪高裁で泉佐野市の請求が棄却されていました。わずか半年足らずで逆転勝訴です。
ふるさと納税は、本来、自分が生まれたふるさとなどに寄付をすると、自分の現在の居住地の住民税が一定の計算のもとに控除されるというものです。今回の判決は、過去のふるさと納税返礼品の取り扱いを新制度に照らして不適当であるから同市を除外するという国(総務省)の考えですが、本末転倒であると考えます。既に過去のものとなった取り扱いが、新制度に合致していないから除外するなどという争いが最高裁まで持ち込まれたこと自体が不思議です。税法も税制改正が毎年ありますが、その新税制については、「いつからこの税制を適用する」と定められています。過去には原則として遡及しません。
ふるさと納税の本来の争点は、「返礼品のやり過ぎ」というものが論点です。新制度に準じ、現在及び将来に向かって不適当か否かを論じるべきです。 泉佐野市は本来の返礼品の他にギフト券を加えていました。将来においてもこのようなやり方を踏襲するのであれば問題ですが、そうでない場合は、ふるさと納税の対象地とすべきです。自分のふるさとである泉佐野市に本当の意味での寄付をしたいという人たちの意見を無視した争いであったと思います。