6.ⅮES

デット・エクイティ・スワップの盲点

 DESとは、債務(Ⅾebt)と株式(Equity)の交換(Swap)のことをいいます。簡単に言えば、「債務の株式化」です。この手法は、財務状態を改善するために行われることが多いですが、税務上大きな問題があります。

 DESが適格現物出資であれば良いのですが、通常は事業の移転が行われないので、非適格現物出資になると考えられます。そうすると、債権は時価で評価しなければなりませんので、その時価と債権の帳簿価額の差額が、債務消滅益となります。つまり、債務者である法人に課税問題が生じます。貸付金が金銭の場合、時価と帳簿価額は同じではないかと思われるかもしれませんが、ここでいう時価とは合理的に見積もられた回収可能価額を指します。したがって、この回収可能価額を合理的に算定しなければならず、この金額と貸付金簿価の差額が、債務者側の会社では益金として計上されます。

 DESを行うような会社は、一般的には財務状態が健全ではないので、この債務消滅益が必ず発生すると考えたほうが良いです。また、債権を放棄したのが法人であれば、その法人では寄附金課税の問題が生じる可能性があるので注意が必要です。また、相続対策でDESを採用する場合も要注意です。債務消滅益により株価が上昇し、他の株主への贈与課税の問題が生じます。