5.法人地主の借地権問題

 借地権課税は非常に複雑で、法人が認定課税されると資金が無い状態で多額の納税が発生する可能性があるので、特に注意が必要です。

 個人の土地の上に法人が建物を建てて、不動産賃貸業を事業とする形態はよくありますが、法人が土地の所有者で個人がその土地の上に建物を建てる場合は要注意です。建物所有者の個人から権利金を受け取らない場合、借地権の認定課税が行われます。これは、権利金を収受する慣行があるにもかかわらず権利金を収受しない行為は、権利金相当額について法人が利益を得たと考えるためです。

 この認定課税を回避するためには、その土地の評価額から算定した相当の地代を個人から収受する必要があります。ところが一般的にはこの相当の地代は非常に高額となるため、よほどの家賃収入がない限り払えません。そこで、この相当の地代を払えない場合は、法人と個人の連名で、土地の無償返還に関する届出書をその法人の所轄税務署に提出します。この無償返還を提出することで、認定課税は行われないことになります。