5.手付解除の申告
不動産売買契約を締結し、手付金を受け取った後で買主が何らかの理由で手付金を放棄して売買契約を解除することがあります。不動産の売買契約は金額も高額になることから、契約締結まで慎重に契約内容を考慮し最終的な契約締結に至ります。したがって、手付解除や違約解除は、まれにしかないと思いますがこのような場合、売主側の手付金収入についてどのように申告すればよいか迷うところです。
結論から申し上げますと、手付金収入のみの場合(手付解除等の場合)は、譲渡所得ではなく、「一時所得」として確定申告が必要となります。一時所得は臨時的な収入があった場合の所得区分です。ただし、手付金すべてに課税されるわけではありません。一時所得の算定は、収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額を収入から控除することができます。本件の場合で言えば、売買契約に伴い支払った仲介手数料が該当します。
手付金から仲介手数料を控除し、さらに特別控除(最高50万円)を控除した金額の1/2が所得金額となります。通常、不動産を売却した時は、譲渡所得として他の所得と分離して所得金額を算定しますが、この一時所得は、給与所得などと合算して所得を計算する総合所得ですので注意が必要です。場合によっては、譲渡所得よりも税率が高くなることもあります。