5.自筆証書遺言

 遺言には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があります。このうち自筆証書遺言について、令和2年7月10日より新しい取り扱いがスタートします。自筆証書遺言は、公正証書遺言と異なり公証役場に出向かなくとも自分で遺言を書き、署名押印し封印することで簡単にできる遺言です。しかし、相続人がこの遺言の存在を知らなかったり、知っていても自分に都合の悪い遺言であれば勝手に破棄したり、裁判所の検認がなければ効力を発しないなどの問題がありました。また、遺言の内容すべてを自筆する必要がありました。高齢者にとってはかなりの労力を伴います。

 新しくスタートする制度では、遺言のうち財産目録についてはパソコンで作成することができます。裁判所の検認も不要で、かつ、法務局が保管してくれるので紛失の心配もありません。公正証書遺言に近い存在となり、かつ、公正証書遺言よりも簡易に遺言を作成することができます。

 遺言がないといけないというわけではありませんが、近年相続による遺産分割について争いが増加してきています。遺言を書いておけば100%安心というわけではありませんが(遺留分の問題)、自分のためにも残された相続人のためにも、この制度を利用し自筆証書遺言を作成することをお勧めします。法務局への自筆証書遺言の申請・保管は1件につき3,900円です。