4.所得税法における推計課税
税務署が推計して所得税を課税する制度が推計課税です。我が国税法は、実額課税を原則としていますので例外という取り扱いになると考えられます。日々の売上や必要経費の金額が不明な場合、税務署が同規模同業者の差益率などから推定して、納税者の売上高・必要経費の額を推定します。そして、そこから推定された所得に対して課税が行われます。
裁決例や裁判例を見ると、推計課税される業種の特徴としては現金商売の飲食業が多いようです。推計の方法としては、同規模同業者の差益率、棚卸資産(割箸やおしぼりなどの消耗品)の減少率、営業の時間帯別売上比率・客単価などから推計して所得金額を導きます。
推計課税は白色申告者のみが対象となっていますが、青色申告者でも青色が取消され、白色申告者になったうえで適用されるので注意が必要です。また、推計するため領収書等がないことが前提となっているので、所得税で推計された必要経費については、消費税の仕入税額控除はないことに留意する必要があります。所得税・法人税では明文規定がありますが、源泉所得税についても令和3年1月1日以降から推計課税が適用されることになっています。