3.暗号資産に係る所得税
暗号資産を売却又は使用することにより生ずる利益については、事業所得等に該当する場合を除き原則として雑所得に区分されます。申告分離課税の適用はないので、総合課税により申告することになります。ここで問題となるのが必要経費です。必要経費は、「譲渡原価」、「暗号資産交換業者への手数料」、「売却に必要であると認められる部分の金額」となります。
「譲渡原価」は、暗号資産の種類ごとに総平均法又は移動平均法で算定します。いずれかを選択しない場合は総平均法になります。移動平均法を採用したい場合、初めての申告の場合は暗号資産を取得した年分の翌年3月15日までに届出が必要です。また、評価方法を変更する場合は、その年の3月15日までに移動平均法を採用する旨を記載した届出書を提出して、その承認を受ける必要があります。評価方法により同じ取引でも譲渡原価が変わってくるので、評価方法の採用には注意が必要です。
「売却に必要であると認められる部分の金額」とは、売却に伴い直接関係した費用のことです。通信費、PC購入費用、関連書籍の購入代などが該当すると考えられます。ただし、通信費など、家事関連費用と直接関係費用が混在する場合などは、暗号資産に係る業務遂行上必要であったことが明らかに区分できる場合に限り、その直接関係費用のみが必要経費となりますので注意が必要です。