22.未分割のリスク
近年、相続財産が未分割のまま、申告せざるを得ない状況が多くなってきています。
各相続人が自分の権利を主張する流れが主流です。たとえ、遺言書があっても、相続人が全員子どものみの場合(親が両方とも死亡した場合)、争いが多くなっています。父または母のどちらかが相続人として残っている場合、大抵は、子どもが親の言うことを聞き、相続開始後10ヶ月以内に遺産分割協議を行い、または、遺言書の通りに相続手続きを行います。ところが、もう一人の親の相続が発生した場合は、状況が一変し、争いが発生します。
相続人間で争いが生じた場合、10ヶ月以内に分割協議を完了させることは困難です。ただその場合でも、相続税の申告は10ヶ月以内にしなければならないので、未分割のまま申告することになります。ただし、この場合でも申告期限後3年以内に分割することが必要です。3年以内に分割ができなかった場合、主に次の特例が適用できなくなります。
・配偶者に対する相続税額の軽減
・小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
・特定計画山林についての相続税の課税価格の計算の特例
特に、配偶者軽減や小規模宅地の特例が適用できないと、相続税が高額になってしまうので、注意が必要です。
争いが起きないように、準備することが最も重要ですが、準備を万全にしたとしても、争いは起こるときは起こります。
税理士は、その際に「未分割による税務リスク」を各相続人に伝え、遺産分割を未分割にしないようにすることが重要です。
未分割は誰の得にもなりません。