21.相続時精算課税の選択
【概要】
暦年課税の基礎控除とは区分して、110万円の基礎控除ができるようになった。
この基礎控除部分は、相続時精算課税を適用したすべての贈与価額には含めずに、相続財産に加算することになります。つまり基礎控除部分は加算する必要がありません。
これは、令和6年1月1日以降に適用できますが、生前贈与(暦年課税)と相続時精算課税制度のどちらを選択するか、を考えなければなりません。今まで、相続時精算課税を選択しなかったかたも検討の余地があります。
ただし、生前贈与も改正があり、生前贈与加算期間が、相続開始前「3年以内」から「7年以内」に変更になります。延長になった4年間については、加算総額のうち100万円は加算の対象としないなど、意味不明な制度も創設されましたが、『期間と贈与財産価額』に重点を置いて、精算課税制度を適用するか否かを考える必要があります。一旦、精算課税を選択すると暦年課税には戻れないからです。
また、税理士は、新規で相続業務を受けた場合、過去に相続時精算課税が適用されたか否かの確認を必ずしなければなりません。長い間顧問をしていたお客様であれば、過去の情報も分かるかもしれませんが、新規のお客様の場合は要注意です。「知らなかった」、「相続人に聞いたけど適用したことはないと言っていた」では、税理士失格です。課税庁に対し、相続時精算課税制度が適用されていたか否かを照会すべきです。
今後、相続時精算課税制度の適用が増加すると思われます。過去の贈与の確認、贈与税申告書の確認、通帳等の確認、課税庁への照会、などやるべきことが増加するはずです。