24.ふるさと納税
ワンストップの盲点
ふるさと納税のワンストップ特例制度は、ふるさと納税先の自治体が、1年間で5自治体以内であれば、ふるさと納税をした後に確定申告をしなくても寄附金控除が受けられる便利な仕組みです。注意したいのは、医療費控除などを受けるために所得税の確定申告を行うと、自動的に確定申告が優先されて、すでに利用したワンストップ特例制度が無効になることです。
確定申告をするとワンストップ特例制度が無効になってしまうので、確定申告の際に改めてふるさと納税を寄附金控除として申告しないと控除を受けられません。雑損控除、医療費控除、住宅ローン控除適用の一年目は確定申告でないと控除が受けられないし、副業をしていて給与以外に所得がある場合などは確定申告が必要となるので、ワンストップ特例制度は自分が確定申告する必要がないことを確認してから利用する必要があります。
2021年分の確定申告から、ふるさと納税の場合では、国税庁長官が指定した特定事業者が発行する「寄附金控除に関する証明書」を添付書類とすることができるようになりました。この国税庁長官が指定した特定事業者は、国税庁のサイトに一覧が載っていますが、主にふるさと納税のポータルサイトを運営する事業者が指定されています。また、e-Taxで申告をする際には寄附を証明する書類の添付は不要となります。
なお、ワンストップ特例制度を利用できるのは、ふるさと納税の寄付先が5自治体以下の場合です。同じ自治体であれば複数回ふるさと納税を行っても自治体は1つとしてカウントされます。ただし、同じ自治体に複数回寄付した場合にも、必ずふるさと納税の寄付をするたびにワンストップ特例制度の申請が必要となります。一方、確定申告では寄付する自治体数に制限はありません。
使い勝手の悪いワンストップ制度、確定申告をしない会社員等の方には、有効かと思いますが、確定申告をする人に混乱を与えているのが現状だと考えます。気軽に税理士に相談できれば良いですが、そうでない場合、「自分はワンストップの手続きをしているから大丈夫」と考えている納税者のかたも多くいらっしゃると感じます。