21.株式交付と株式交換

相違点

 組織再編の手法に、「株式移転」、「株式交換」がありますが、令和1年の会社法改正で、新たに「株式交付」が規定されました。

株式交付」とは、A社がB社をその子会社とするためにB社の株式を譲り受け、当該株式の譲渡人に対して当該株式の対価としてA社の株式を交付することをいいます。

 株式交換も同様の手法ですが、株式交換だと買収会社は被買収会社の発行済株式のすべてを取得しなければなりません。また、買収会社が被買収会社を完全子会社とすることまでは予定していない場合には、株式交換ではなく、被買収会社の株式を現物出資財産として自社の株式を発行する手法をとらざるを得ませんでした。しかしこの場合には、原則として検査役の調査を受けなければならないという障害があったため、株式交付制度が設けられました。

 税務上は、令和3年度の税制改正で、株主の譲渡損益の繰り延べや、法人の法人課税免除など、一定の要件を満たした場合は、課税が繰り延べられ、株式交付時点では課税されないような措置がとれるようになりました。

 ただし、この株式交付制度は、株式会社が他の株式会社を子会社とするための手法であるため、既存の子会社株式の買い増しには適用することができないので注意が必要です。