20.ジョイント・テナンシー
みなし贈与
「ジョイント・テナンシー」とは、アメリカの一部の州で、州法上認められている不動産の共同所有の一形態です。日本語で言えば、「合有不動産」という意味になるかと思います。カリフォルニア州等では、不動産の所有形態として一般的です。簡単に内容を説明すると次の4つの要件に該当するものがジョイント・テナンシーとなります。
- 共同所有者(ジョイント・テナンツ)の全員が同時に所有権を取得。
- 全員が同一の譲渡証書によって所有権を取得。
- 持分割合が均等。
- 各自が財産全体を占有していることにより成立し、ジョイント・テナンツのうちのいずれかの者が死亡した場合には、相続によらず、他の残存者がその権利を承継。
最も留意すべきは、④のジョイント・テナンツのいずれかの者が死亡した場合、相続によることなく残存者がその権利を承継できることです。アメリカでは、不動産所有者が死亡して相続手続きが開始されると、遺産が財団を構成し裁判所の管理下で検認の手続きを要します。ジョイント・テナンシーで所有している不動産の場合、④にあるように、相続手続きに移行せずに自動的に残存者に承継されることから、広く用いられています。
ただし、日本では、アメリカの州法は当てはまりません。共同所有者が死亡した場合には、残存者に帰属せず、その相続人に対し、相続税法第9条に基づき贈与財産と認識され、相続税の課税価格に算入されることになるので注意が必要です。