19.税務調査
賞与か貸付金か
法人の税務調査が行われ、法人が損金として処理したものが、役員の個人的な支出等であった場合、その支出は、「役員賞与」か「役員貸付金」のどちらかになることが多いです。
「役員賞与」の場合
この性質としては、個人的な支出等であって、かつ、その支出した金銭を役員が法人に返還しない場合が該当します。つまり、給与として取り扱うということです。この場合、その支出部分について、損金不算入となるだけではなく、その役員の所得になりますので、源泉徴収の問題も発生します。さらに役員報酬とされてしまうと、定期同額給与の問題も発生する可能性があります。
「役員貸付金」の場合
この性質としては、役員がその支出した金銭を法人に返還する意思があり、法人もそれを受け取る意思があることです。つまり、法人が役員に金銭を貸し付けたということです。この場合は、源泉徴収の問題は発生しません。一般的には、法人と役員との間で、金銭消費貸借契約を締結することになります。
いずれの場合も、その支出した金銭は、損金になりませんので、修正申告が必要ですが、役員賞与になるか役員貸付金になるかで、その後の対応が大きく変わってきます。一見、貸付金のほうが良いような気がしますが、貸付金の金額とその後の返済状況によっては、「貸付利息」を計上することになるので注意が必要です。