18.法人成りの税務
譲渡所得
個人事業主が、事業用の資産を自身が設立した法人に売却すれば、確定申告が必要になりますが、注意すべきは「所得区分」です。
法人の場合は、売却益を「固定資産売却益」に計上するだけで所得区分は無く、表示の問題だけですが、個人事業主の場合は、たとえその固定資産が事業用資産の場合であっても、事業所得ではなく「譲渡所得」になります。原則として、譲渡所得の計算式は「譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額50万円」となります。
また、事業用の資産を売却した場合などは、事業用以外で使用していた部分を考慮する必要があります。
例えば、事業用で使用していた車両運搬具の事業専用割合を60%で必要経費に算入していた場合では、売却価格の60%が譲渡所得の対象となります。残りの40%に対しては生活用動産として課税はされませんが、譲渡損失が出たとしても、その損失はないものとみなされ、損益通算に使うことができません。この場合、譲渡所得の取得費は、取得価格から減価償却累計額を控除した金額に事業専用割合の60%を乗じた金額になります。
100%事業用として使用していた場合は按分は必要ありませんが、事業使用割合を適用していた場合は、譲渡所得の金額が変わる場合がありますので、注意が必要です。