16.相続税と贈与税

税率の違い

 取得金額(※)が、5千万円以上で1億円以下の場合の相続税と贈与税の税率は、次のようなります。

【相続税】 30%

【贈与税】 55%

 ※相続の場合の取得金額とは、「法定相続分に応ずるもの」です。相続財産総額ではありません。つまり、相続税額の算出は、各人が相続で取得した財産に直接税率を乗じるというものではありません。正味の遺産額(プラスの財産からマイナスの財産を差し引いた残額)から、基礎控除額を差し引いた残りの額を、相続分により按分した額に上記の税率を乗じます。そして、その算出された金額が相続税の総額の基となる税額となります。最後に、この相続税総額を取得した財産額に応じて、各相続人に割り振ります。

 税率だけ見てしまうと贈与税の税率のほうが圧倒的に高いですが、相続と贈与では計算構造が異なるので、注意が必要です。相続対策のために、生前に暦年課税贈与を適用し、相続人となる人に財産を移し過ぎると、結果として税金が高額になってしまう可能性があります。まずは、正味の遺産額を算定し、その上で相続税を試算してみて、本当に相続対策が必要か否かを把握することが相続対策の第一歩です。