15.非居住者の源泉

講演料の支払いに係る源泉

 非居住者に対する課税制度について、課税所得の範囲は、国内源泉所得であり、その方法は、申告納税又は源泉徴収となっています。例えば、学術講演会等で非居住者であるアメリカの大学教授を日本に招聘し、日本国内で講演を行ってもらった対価として支払う講演料(人的役務の提供の対価)は、源泉徴収の対象となります。税率は20.42%であり、原則として講演料の支払い日の翌月10日までに納税する必要があります。

 ただし、その大学教授が日本に恒久的施設を有していない場合で、「租税条約に関する届出書」をその講演料の支払の前日までに所轄税務署に提出すれば、源泉徴収する必要はありません。要するに単発で来日し(今回が初めてで、日本に関わり合いのない方)、届出書を提出すれば、源泉徴収は不要ということです。

 これは、租税条約に定める特例により、当該大学教授の場合、日本での講演は独立の資格で行う人的役務の提供と考えられるので、「自由職業者」に関する規定が適用されることとなるためです。ただし、この届出書の提出を怠ると要件を満たしていても、源泉の免除又は軽減は受けられなくなるので注意が必要です。