13.相続財産の贈与

公益法人へ贈与した場合

 一定の公益法人に対して、相続財産を贈与した場合、相続税が非課税となります。主な要件としては、次の2点です。

 (1)法人が、贈与された日から2年を経過する日までに、公益目的事業に供すること。

 (2)贈与により、贈与をした者(相続人)又はその親族等の相続税又は贈与税の負担が不当に減少しないこと。

 上記(1)の要件について見てみると、その贈与された財産を公益目的事業に供している必要がありますが、仮にその財産を売却し、その売却代金でその公益法人の公益目的事業を実施するための資金に充てた場合にまで、この要件を満たすか否かが問題となります。

 結論としては、売却代金が現実に当該法人の公益目的事業のために充てられたならば、当該相続財産が贈与時の状態でその公益目的事業の用に供されなくても、公益目的事業の用に供されたことになります。したがって、贈与後に売却されたとしても相続税非課税の適用はあるということです。売却でなくても、贈与財産が、その贈与の目的に従って当該公益法人の行う公益を目的とする事業の用に供されているかどうかにより判定するということですので、贈与財産が贈与時のままでその用に供されているか否かは問われません。しかし、実務的には、売却代金が実際に公益目的事業に充てられたかどうかの判定は難しいと思われます。