13.遺留分侵害額請求

相続法改正の影響

 相続法改正により、従来、遺留分減殺請求と言われていたものが、遺留分侵害額請求とされました。遺留分減殺請求は、遺留分が侵害された相続人が最低限の遺留分を請求できました。しかし、この請求は侵害された財産そのものを取り戻す内容でしたので、財産が不動産の場合は共有になってしまう可能性が高く、将来的には更なる問題を引き起こす可能性がありました。これに対して、遺留分侵害額請求は、金銭を請求することになります。対象の財産が不動産のみであっても、最低限の遺留分を金銭で支払えばそれで解決できます。これにより、共有関係が解消されることになります。

 相続税法上の更正の請求等については、遺留分侵害額請求権という権利を行使することによって生じる担税力の増減は、改正前と同じ取り扱いと考えられることから、課税関係については、改正前と大きく変わることはないと思われます。ただし、小規模宅地等の特例や譲渡所得税関連は、改正前と異なる取り扱いがある場合があるので注意が必要です。