12.不動産所得の収入計上時期

所得税のケース

 不動産所得がある場合、その収入(賃貸料)の計上時期が問題となることがあります。例年通り、通常の不動産の賃貸料収入を計上している分には、特に問題となりませんが、相続が開始した場合は、その賃貸料収入が被相続人に帰属するか、相続人に帰属するかが問題となることがあります。

 所得税法上(基本通達)は、収入すべき時期について3つの区分を設けています。

1.契約により支払日が定められているもの➡「その支払日」

2.支払日が定められていないもの➡「その支払いを受けた日」

3.請求があった時に支払うべきものとされているもの➡「その請求日」

 一般的には、賃貸借契約をしてその契約により支払日が定められているので、上記1に該当すると思います。したがって、賃貸借契約書に定められている支払日が、不動産所得の総収入金額の収入すべき時期となります。

 この支払日が未だ到来していないときに、相続が開始した場合、相続税法上及び所得税法上、どのように取り扱うかが問題となります。賃貸借契約において、賃貸料の支払日を定めているときは、支払日が到来していない月分の賃貸料のうち、前月の支払日の翌日から被相続人の死亡日までの賃貸料(日割家賃)は、被相続人の相続財産としなくても良いとされています。つまり、被相続人の準確定申告の不動産所得の計算上、収入に算入する必要はなく、また未収家賃として相続財産に計上しなくても良いことになります。相続開始日と賃貸借契約の内容をよく確認する必要があります。