12.代償分割
所得税に留意
代償分割とは、遺産の分割に当たって、ある相続人に相続財産を現物で取得させ、その現物を取得した人が他の相続人に対して債務を負わせるものです。分割する財産の性質上、分割が困難な場合等に採用する手法です。
代償分割の場合、代償財産を交付した人の課税価格は、相続により取得した現物の財産の価額から交付した代償財産の価額を控除した金額となります。一方、代償財産の交付を受けた人の課税価格は、相続により取得した現物の財産の価額と交付を受けた代償財産の価額の合計額となります。
この代償分割で注意すべき点は、代償財産として交付する財産が相続人固有の不動産の場合です。この場合、所得税法上、遺産の代償分割により負担した債務を履行するための資産の移転となるので、その履行した人については、その履行の時における時価によりその資産を譲渡したことになり、譲渡所得税が課税されます。一方、代償財産として不動産を取得した人については、その履行があった時の時価により、その資産を取得したことになります。