11.物納

相続税の物納

 税金は、金銭で納付することが原則ですが、相続税に限っては、延納によっても金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、納税者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として一定の相続財産による物納が認められています。

 この物納は許可を得なければ適用できません。財産の種類により様々な要件がありますが、最も重要なのは、延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額を限度としていることです。要するに現金がある場合には、物納の申請はできないということです。物納件数は、年々減少しています。バブル期は土地の評価が高く、相続税も多額になっていたことから、物納件数が多かったですが、現在は相当程度減少してきています。

 また、財産の生前贈与を受けて相続税精算課税又は非上場株式の納税猶予を適用している場合は、それらの適用対象となっている財産は、贈与者の死亡によりその贈与者から受贈者が相続により取得したとみなされることとなっていますが、それらの財産は物納の対象とすることができないので注意が必要です。