10.暦年贈与
非上場株式の贈与
法人版事業承継税制がありますが、一定の要件を満たす必要があり、手続きも煩雑です。時間的猶予がない場合、この制度を利用するもの一つですが、非上場株式の贈与者が年齢的にも余裕があり、受講者についても後継者としての自覚を持つ時間を考慮すると、暦年贈与での非上場株式の移転が効果的であると考えます。
毎年、一定の時期に株価評価を行い、贈与税の税率が低くなるように計画的に非上場株式を贈与していきます。当該法人の財政状態や資産評価にもよりますが、株価は毎年変動します。業績が悪い時期や法人が所有している土地等の評価額が低い時に、株式を多く贈与することができます。また、その反対に株価が高い時は株式の贈与を少なめにします。
事業承継税制と異なり、一時に多くの株式を贈与することはできませんが、数十年かけて後継者に贈与していけば、結果として同じ効果が現れます。トータルで考え、どちらの制度を利用すれば納税が少なくなるか検討する必要がありますが、暦年贈与であれば、贈与者と受贈者の意思を多く反映することができ、後継者は持ち株を徐々に増やすことにより、会社に対する意識も良い方向に向かうはずです。