9.土地の使用貸借
親から子への贈与の問題
親の土地の上に子供が収益物件を建てて収益を得る場合、子は親の土地を使用して建物の使用収益を得ているので、親に対して地代を支払う必要があります。しかし、一般的には親族関係で地代のやり取りをすることはありません。このような地代を支払わず、また権利金も支払わない取引を使用貸借といいます。つまり、子は無償で土地を使用させてもらっているということです。
この無償で土地を使用している行為が贈与にならないかという疑問が生じますが、贈与税は課税されません。これは、税法上、使用貸借による土地を使用する権利の価額はゼロとして取り扱われているためです。つまり、評価対象となるものがゼロとなるので、どのような土地であっても贈与税は課税されないということです。
ただし、相続時には注意が必要です。使用貸借ですので、親は土地を子供に貸付けているということにはなりません。したがって、当該土地の相続時の評価は貸宅地の評価ではなく、自用地としての評価になります。