9.国外中古建物

損益通算の禁止

 令和2年度税制改正で、国外中古建物に係る減価償却費を損失処理し、他の所得との損益通算をする行為ができなくなりました。これは令和3年以後の各年分において適用されることになります。国外中古建物の減価償却費を計上しても、そもそもそれが生じなかったこととされます。

 国外中古建物は、一般的に建物の価額が高く、国内税法に基づき減価償却費を計算すると、多額の償却費を計上できます。国外の不動産所得で大きなマイナスを発生させ、国内での役員報酬や不動産所得と損益通算し、所得を圧縮する方法が今後はできなくなるということです。

 主に富裕層向けの節税対策が禁止されることになります。国外中古建物(収益物件)を購入し、多額の減価償却費を計上し、他の所得と損益通算できる行為が、租税回避行為に近かったため、税法が改正された形になります。高額所得者については、給与所得控除の引下げや基礎控除のゼロ適用など、増税の方向に向かっています。