7.借地権者の地位に変更がない旨の届出

贈与税の回避

 借地権者の地位に変更がない旨の届出書(以下、「届出書」という。)は、あまり馴染みがないかもしれません。この届出書は、贈与税が課税されないためにも重要な届出です。親が借地している土地の所有権を子が購入した場合において、親子間で地代の授受がなければ、親が所有していた借地権は、子がその所有権を取得した時に、親から子へ当該借地権の贈与があったものとして取り扱われます。

 これは、親が前所有者(前地主)へ権利金や地代の支払いをしていたにもかかわらず、所有者(底地権者)が子へ移った時に地代等の支払いを止めた場合、借地権を親が放棄し、子へその借地権が無償で移ったと考えるためです。

 この贈与を回避するためには、届出書を連名で子の住所地の所轄税務署長に提出し、引き続き親が借地権者であることを示す必要があります。当然ですが、親に相続が発生した場合は、この借地権は相続財産となります。しかし、贈与税の税率が相続税の税率よりも高い場合は、相続で取得したほうが有利となります。