7.配偶者の税額軽減

第二次相続を考慮

 配偶者の税額軽減とは、被相続人の配偶者が遺産分割等により実際に取得した正味の遺産額が、1億6千万円と法定相続分相当額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税は発生しないという制度です。この制度を利用し、被相続人の財産の大半を配偶者に取得させれば相続税の軽減が図れますし、納税する資金が無い場合は特に効果的です。

 しかし、第二次相続のことも考慮してこの制度を利用すべきです。被相続人の財産と配偶者固有の財産の両方を把握し、第一次相続で相続税の軽減を図るのか、第一次相続で多少税金を払ってでも、第二次相続のために配偶者以外の相続人(第二次相続の相続人)に財産を取得させるか、慎重に検討する必要があります。

 第二次相続のときは、配偶者の税額軽減はありませんから、第一次相続よりも相続税の金額が多くなるのが一般的です(分割の内容にもよります)。第二次相続までの期間も念頭におき、どこまでこの制度を利用すれば、2回の相続で相続税が最適になるかを計算しておく必要があります。

 第二次相続までの期間については誰にも分かりません。しかし、期間が長いと想定されるのであれば、配偶者の税額軽減を最大限利用し、その後生前贈与で相続税の税率よりも低い税率で推定相続人又はその子供へ贈与していくのが効果的です。