5.簡易課税制度の留意事項

 (事業区分)

 不動産業を営む事業者の事業区分は第六種事業となり、みなし仕入率は40%です。この事業者が自己の建物を売却した場合は注意が必要です。事業者が使用していた固定資産等を譲渡した場合は、不動産業の事業区分にかかわらず第四種事業に該当し、みなし仕入率は60%となります。この事業区分を適用しないと建物譲渡にかかる消費税のみなし仕入率は40%になってしまいます。

 (届出)

 簡易課税制度を適用した場合、2年間は原則計算による仕入税額の控除に変更することはできません。簡易課税制度を適用している事業者が、設備投資などで多額の仕入税額控除が発生する場合は、事前に計画を立てた上で早めに消費税簡易課税制度選択不適用届出書を提出する必要があります。

 (基準期間の課税売上高)

 簡易課税制度を適用している事業者の基準期間の課税売上高が5,000万円を超える場合は、その課税期間については簡易課税制度を適用できないので注意が必要です。特に5,000万円前後の課税売上高が毎年発生する事業者は注意する必要があります。なお、一度簡易課税制度選択届出書を提出している事業者は、不適用届出書を提出しない限り効果は続きますので、基準期間の課税売上高が再び5,000万円以下になれば簡易課税制度を適用することができます。