3.節税・租税回避・脱税

 節税・租税回避・脱税は、いずれも税金を減少させるという目的は同じです。ところが、その内容は全く異なります。節税は、税法の規定に則り税金を合理的に減少させる行為です。違法性はありません。青色申告の特典利用、住宅ローン控除の適用、医療費控除の適用、圧縮記帳、少額減価償却資産の特例、小規模宅地等の特例など様々な節税方法があります。

 租税回避は、税法がそもそも想定していない形式で税金を減少させる行為です。課税要件をスルーし、不合理な取引を採用して税法の抜け穴を突きます。自動販売機を設置して消費税の還付を受ける行為などが該当します。ただし、税制改正が何度かあり現在ではこの方法で消費税還付はできません。租税回避行為に税法がストップをかけた形になります。税制改正は毎年あり、このような不合理な取引ができないようになってきています。

 脱税は、課税要件を無視し故意に税金を減少させる違法行為です。売上除外、架空経費の計上、相続財産の隠蔽、架空従業員への給与などが該当します。平成30年度には、輸出免税制度を利用した消費税不正還付事件がありました。これはある会社が、輸出手続きの代行のみを行っていたにも関わらず、輸出手続きに必要な取引先の書類を流用することで、代行会社自らが輸出や国内での仕入れをしているかのように装い、架空の免税売上げ及び架空の課税仕入れを計上する方法で不正に消費税の還付を受けた事件です。

 ここでポイントとなるのが租税回避行為です。違法ではありませんが課税する法律がないため、税逃れのための取引行為が行われます。これを阻止する規定もありますが(同族会社の行為計算否認など)、租税は法律に則って課税するため租税回避行為は税務上問題となることが多々あります。脱税に近い租税回避行為は認められません。税金を減少又は還付させるための不自然な取引や税法が予定していない不合理な取引は行うべきではありません。