4. 0歳児への贈与
贈与は、贈与者(あげる側)から受贈者(もらう側)へ財産を無償で譲り渡す行為です。両者の合意があって贈与が成立します。贈与者が財産を「あげる」と言っても、受贈者がそれを「もらう」という意思表示をしなければ贈与は成立しません。したがって、受贈者が0歳児の場合、「もらう」という意思表示をすることはできませんので、0歳児への贈与は成り立たないということになります。
生前贈与で、子や孫に早めに財産を贈与しておきたいと考える場合がありますが、0歳児への贈与は贈与そのものが否認される可能性があるので注意が必要です。この否認は、相続税の税務調査時に行われる可能性があります。特に親から0歳児の子供への贈与は、親権者が自分になるので、あげる側ともらう側の意思表示を示す人が同一人物になってしまいます。祖父母から0歳児の孫への贈与であれば、親権者である親が意思表示をすることも考えられますが、あくまでも親権者であって受贈者ではないので注意が必要です。
また贈与は、受贈者が贈与された財産を自分で管理することができなければ贈与したことになりません(名義預金の問題が発生します)。0歳児にもらった財産を管理することはできませんので、この意味においても贈与は成り立たないと考えられます。贈与契約書作成や贈与税の申告をしていれば良いというわけではありません。未成年者への贈与は、贈与の本質をよく理解したうえで、その時期と金額に留意し行う必要があります。