4.相続税の税務調査

 相続税の税務調査の実施は、まず、相続人代表者又は税理士に権限を委任している場合は税理士に連絡が入ります。税務署からの連絡後、調査日時を決定し、原則的には被相続人の自宅で調査が行われます。実施時点で被相続人の自宅が売却などで無い場合は、相続人代表者の自宅や税理士事務所で行われることもあります。実地調査の日数は1日~2日間行われますが、通常であれば1日で終了します。その後、税務署とのやり取りを開始します。最終的に調査が完了するのは、調査から3ヶ月後~半年後が一般的です。

 実地調査は、原則として相続人全員が参加します。これは、被相続人について相続人全員から意見を徴収し、互いに辻褄が合わないことが無いか、被相続人の生前の財産の状況を把握している相続人は誰か、などを調べるためです。調査当日の午前中は、相続人から被相続人の生い立ちや職業、亡くなる直前の状況等について聞き取り調査が行われます。午後は、相続税申告の根拠となった書類等を調べます。税務署はあらかじめ相続財産の内容について調べてきているので、その確認作業になります。

 調査では、被相続人の貸金庫に直接税務職員と出向くことがあります。これは申告に記載されていない通帳や金などの財産、権利証等がないか確認するためです。しかし、調査時点では被相続人の貸金庫は解約され既にない場合があります。この時は、相続人の貸金庫に出向くこともあります。また、被相続人が使用していた印鑑なども調べます。印鑑を調べるときは、まず朱肉を使用しないで、印影を取ります。これは最近使われた印鑑か否かを調べるためです。

 税務調査では相続人が思いもよらぬ財産が出てくることがあります。相続人は被相続人の生まれてから亡くなるまでの全ての人生を把握しているわけではないので、「知らないこと」が調査で明らかになることがあります。この時は、遺産分割協議を再度行い、新たに出てきた財産をどの相続人が取得するかを決定し、修正申告することになります。また、当初の遺産分割協議で記載されていない財産が判明した場合は、どの相続人が取得するかを記載しておけば新たな遺産分割協議は必要ありません。