2.区分所有者の税務問題

 マンションの区分所有者は、管理組合に対し管理費と修繕積立金を支出しています。いずれも消費税法上は不課税取引となります。消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等に課税されます。マンション管理組合は組合であり、区分所有者はその組合の構成員という考え方になります。組合と構成員の間の取引は、事業者が事業として対価を得て行う取引ではないため、消費税法が適用されないということです。

 つまり、管理費も修繕積立金も区分所有者側からすれば、管理組合へ金銭を預け入れているに過ぎず、その支払う行為に直接の対価性はないということになります。ただし、区分所有者が個別に直接業者へ管理を委託した場合や、工事業者に直接修理を依頼した場合は、その管理委託料や修繕費は、課税仕入れに該当しますので注意が必要です。

 一方、法人税法・所得税法上は、支払いのあった事業年度又は年分で、費用又は必要経費になります。管理費や修繕積立金の支出は、その支出があった時点で実際に修繕等が行われているわけではありませんが、これらの支出は、区分所有者の義務であり、返還もされないことから、費用又は必要経費処理が認められているということです。