1.株価上昇に伴う税務問題

 ある株主が会社に対する貸付金債権を放棄した場合、会社側では負債が減少し、利益が計上されるため一般的には株価が上昇すると考えられます。ここで税務上問題となるのが贈与税です。1人株主の場合は問題が生じないと考えられますが、複数の株主がいる場合、その株主達は経済的利益を貸付金債権を放棄した株主から受けることになります。債権放棄をする前とした後の株価の差額に持ち株数を乗じたものが贈与財産となり、この財産について贈与税が課税されます。この場合における財産の取得時期は、債務の免除があったときとされます。

 債務免除により、会社の財政状態を良好なものとしたり、相続財産を減少させたりする効果がありますが、タイミングを間違えると贈与税が発生する可能性があります。会社が債務免除を受ける場合は、法人税・相続税・贈与税を総合的に勘案し、時期と金額に注意する必要があります。