1.居住用賃貸建物の仕入税額控除

 令和2年度の税制改正により、居住用賃貸建物を取得した場合は、原則として仕入税額控除ができなくなりました。この改正は、令和2年10月1日以降に取得した居住用賃貸建物について適用されます。自動販売機設置や金取引により課税売上を計上し、取得した建物に係る消費税を還付させるスキームについてメスが入った形になります。居住用賃貸建物の取得には、自ら建築する場合と既にある建物を購入して取得する場合が考えられます。この改正により、前者については、令和2年3月31日までに工事請負契約等を締結していない限り、建築工事期間の関係から消費税還付はほぼ不可能になると思われます。後者については、令和2年9月30日までに建物を購入し取得しなければ消費税還付は受けられないことになります。

 ただし、この改正は、居住用賃貸建物について適用されるものですので、住宅の貸付けに供しないことが明らかな建物については、要件を満たせば仕入税額控除を適用できます。この住宅の貸付けに供しないことが明らかな建物とは、建物の全てが店舗等の事業用施設・旅館・ホテルが該当します。建物に係る消費税は高額になりますので、今後建物を取得する場合は、その用途が居住用か否かの判断が必要になります。